親知らずが痛い〜症例ごとの抜き方〜
こんにちは😊
今年も残すところあと少しですね。
個人の医療機関は29日の土曜で診療を終えるところが多い気がします。
ちなみに年始は4日から診療開始のところが多そうです。
そこで心配なのが、休みの間に何か起こらないか…
こんな時に限って子供が熱を出したり、胃腸炎やインフルエンザにかかったり。
大人が風邪を引いたり、歯が痛くなることだってあるかもしれません。
そこで今日は親知らずについてお話ししようとおもいます。
親知らずとは…
【親知らず】よく耳にしますね。
イメージは
- 痛くなる
- 虫歯になる
- 抜かなくちゃいけない
- 抜くのが大変
- 抜いたら痛いし腫れる
といったところでしょうか。
実際親知らずとは智歯(ちし)または第3大臼歯ともよびます。通常6歳臼歯(第1大臼歯)の奥に第2大臼歯があり、その後ろに生えるはずのものなのですが、骨格が小さくスペースがなかったり、変な方向に向いていたりして出てこない方も多くいらっしゃいます。
私生えてるかな❓
と気になった方。一度手鏡をご覧ください。真ん中の前歯を1番目として順に数えてみてください。
3番目が糸切り歯、4、5番目が小さい奥歯、6、7番目が大きい奥歯、その奥に歯があればそれが親知らずです。
なぜ親知らずは抜かなくてはいけないのか
皆さん親知らず=抜歯
と思われている方が多いです。しかし抜かなくていい場合もあります。それは
- きれいにまっすぐ生えていてブラッシングがしっかり行き届いている
- 虫歯になっていない
- 噛み合うはもしっかり存在し、噛むという事に役に立っている
- 全く生えていない
こんな場合は基本的に抜歯しません。
ではどんな時に抜歯が必要になるのでしょうか?
それは
*親知らずが手前の歯を押している時
この場合手前を押す事により前歯がガタガタになる恐れがあります。一度押されてガタガタになってしまった歯並びは親知らずを抜いても元には戻りません。元の位置に戻すには矯正治療が必要になります、
*清掃不良により親知らずや、その手前の歯まで虫歯になっている時、またはなりそうな時
痛みがあればもちろんですが、虫歯になっているのであれば早めの抜歯をおすすめします。親知らずが虫歯でボロボロになってしまうと抜歯する器具を引っかけるところがなくなり抜歯が大変になります。また、手前の歯が虫歯になっている可能性がある場合も早期の治療が必要ですのでもし虫歯を指摘されたら早めに抜歯しましょう
*親知らずの周りの歯茎が腫れて痛い時
これが原因で来院→抜歯される方が一番多いように思います。歯茎が腫れるのは細菌が原因です。一番奥にあるため清掃不良になったり、半分しか生えていなくて歯茎の部分が不潔になり細菌が入り込み痛みや腫れを引き起こします。
この場合に限り、痛みや腫れが強い時に抜歯をすることができません。腫れて痛いから抜いてほしいと来院される方はとても多いですが、炎症が起きている場合麻酔も効きにくく、抜いた後の腫れや痛みが何も症状のない時に抜歯するより強く出る恐れがあります。
ですのでこういった場合は大体3日分ほどの抗生剤と痛み止めを処方され、まず腫れを引かせそれから抜歯になることが多いです。
しかし痛みや腫れがなくなるとやっぱり抜くのやめようかな…と言われる方もたくさんいらっしゃいます。確かにその場は痛みも腫れも落ち着き一見治ったように感じますが実は治ったわけではありません。また汚れが溜まり不潔になり細菌が入り込めばまた同じように痛みや腫れが起こります。風邪や疲れ気味で体調が悪い時に痛くなる場合もあります。
ですので一度腫れて痛くなった親知らずはまた同じ症状を繰り返しますので痛みや腫れが引いたタイミングで日程を調整し抜歯することをお勧めします。
抜歯の方法
では「さっ、抜くぞ!」と決めたらどういう流れで抜歯が進んでいくのか気になりますね?
そんなん痛いから聞きたくない‼️という方はここで読むのをやめておいてください笑
★上の親知らず
基本的に簡単に抜けるものが多いです。生えている量によりますが、半分くらい顔を出していれば切らずに抜けます。それ以上埋まっている場合は多少メスで切開が必要です。メスで切開した場合は縫合します。
- 麻酔
- 必要であれば切開
- ヘーベルという器具でテコの原理で抜歯
- 切開した場合縫合(1週間後に抜糸を行います)
上の親知らずの抜歯後は腫れも痛みも少ない方が多いです。痛み止めを1回も飲まなかったと言われる方も多いです。
ちなみに私も普通に生えている上の親知らずを歯磨きがしづらいという理由で以前抜歯しましたが1度も痛み止めを飲まずに終わりました。
★下の親知らず
普通に生えている場合は上と同じような術式で抜歯します。
問題は手前の歯に引っかかって半分しか生えていなかったり、完全に横に向いて埋まっている時です。
手前の歯に引っかかっている場合、まず歯の頭の部分の引っかかっているところを削り、上半分を抜きます。
そして残った根っこを抜きます。
完全に横に向いて埋まっている場合はまずメスで歯茎を切ります。
そして開いて歯を見えるようにします。
その後、引っかかっている時と同じように頭の部分を削って取ります。
そしてできたスペースを利用して手前に起こしながら抜きます。
抜いた後は糸で縫います。(1週間後に抜糸です)
※手書き画像で申し訳ないです…
抜歯後の注意事項
まず麻酔が切れると同時に痛みが出てきます。
ですので下の親知らずの難しい抜歯をされた方には、麻酔が少し切れてきたかな?くらいで痛み止めを飲むよう勧めています。傷口の痛み以外に、喉の痛みや、口が開きづらくなることもありますが少しずつ治っていきますので安心してください。
腫れは翌日くらいがピークです。
朝起きたら顔が腫れている!ということも珍しくありません。この腫れはいきなりは小さくなりません。大体1週間〜10日くらいかけて徐々に小さくなり目立たなくなります。
時々腫れが引いた後もしこりのようなものが残る方がいらっしゃいますが、それも少しずつ小さくなり最終的には消えるので心配ありません。
まれに内出血をおこして青アザができる方がいらっしゃいます。
これもぶつけた青アザがすぐに消えないのと同じようにすぐには消えません。誰かにパンチされたの?と疑われる程のアザですが少しずつ消えていくので心配ありません。
抜いた後は傷口ですので多少出血します。
抜いた翌日、朝起きたら枕に血が付いていた!と心配され来院される方もいらっしゃいますが、その程度の出血は正常な範囲内です。ただ、口の中が血の味がするからとしょっちゅううがいをしていると逆に血が止まりにくくなります。なぜなら、怪我をするとカサブタが出来て血が止まりますね?お口の中では血が固まりゼリー状になります。それがうがいで流れ出てしまうとまた血が出てきます。すなわちカサブタをむしるのと同じことが起こるということです。
どうしても血の味が気になる場合は唾を吐き出すだけ、もしくは水を含んで出すくらいのかるいうがいにしてください。ブクブクと念入りにうがいすると出血だけでなく、骨がむき出しになり痛みが出るドライソケットになることもありますので抜歯当日は強いうがいはやめましょう。
ただ、口がいっぱいになるほどの出血は異常です。速やかに抜歯を行った歯医者さんに行きましょう!
血行が良くなり、身体が温まると再び血が出やすくなります。
抜歯当日はゆっくりお風呂に浸かったりせずシャワーにしましょう。お酒や激しい運動も当日は控えていただいた方が安心ですね。
こちらもまれにですが、唇の痺れが残る場合があります。
その理由として、親知らずの根の先に太い顎の神経が通っていることが関係しています。その神経を抜歯で力をかけた時に少し傷つけてしまうと、麻酔が切れているはずなのな痺れが残る場合があります。
しかしこの痺れも傷つけられた神経が少しずつ治るにつれて少しずつ回復していきます。
お手入れ
抜いたところは傷口です。抜歯当日は結構ですが、翌日から痛くない程度に少しずつ手前の歯も歯ブラシを当てるようにしましょう。不潔になると細菌が穴に入って痛みが続く原因になることがあります。
抜いたところは大きな穴になります。この穴は1ヶ月ほどかけて少しずつ小さくなっていくので、治っていく段階で物が入り込んだままにならないように強めのうがいや、歯ブラシで取り除きましょう。
まとめ
これらのことを踏まえて、抜く時期もしっかり考えて行うことをおすすめします。
腫れるかも、痛みが続くかも…ということは大切な用事がない時期の方がいいですね。
抜歯後痛み止めや抗生剤を飲む可能性がある…ということは妊娠中や授乳中ではなく何もない時に抜歯した方がいいでしょう。
私も下の完全に横に向いて埋まっている親知らずを全く症状はなかったのですが1つの経験として以前抜きました。麻酔をして→抜歯→縫うまで1時間くらいかかったのを覚えています。
抜いた後は早めに痛み止めを飲みしたが、夜中に痛みで目が覚めるのだけは避けたかったので逆算して飲む時間を調整したりもしました。ただ、痛みは2日ほどで我慢できるほどになりました。
あとは、翌日起きるとパッと見でわかるほど腫れていました。私は次の日仕事だったので、ずっとマスクをして隠していましたね。
ここまで聞いて、さっ抜こう!と思われる方はいらっしゃらないと思いますが、心構えはできますね。
抜いている時は麻酔が効いているので痛くありません。ただ、力をかけるのでそこで恐怖も重なり痛く感じる方もいらっしゃいますが、痛いと伝えれば麻酔も足してくれますので安心して下さい。
しかし一番は親知らずが痛くならないこと、虫歯にならないことが理想です。ですので、日頃から汚れや細菌が溜まらないよう一番奥までしっかり歯ブラシで汚れを取り除くように心がけましょう!